ループの作る磁界

M-field01

電線に電流を流すと周回する磁界ができます。
磁界にはこのように「向き」があるので、受信機の向きをこれに合わせる必要があります。

M-field02

ループの場合、このような磁界になります。
床にループを張った場合、ループの中の磁界は主に垂直方向です。補聴器などは、この垂直向きの磁界を受信しやすく設定されています。

これを真横から詳しく見た磁界を示します。矢印の長さが磁界の強さを示します。

横5m、縦4mのループの場合

横5m、縦4mのループの場合

図中の黒丸はループ線の位置です。ループの中ではほぼ垂直向き、ループ線付近では横向きになることがわかります。

次に、5m×4mのループを上から見たときの、磁界の垂直成分の大きさを下に示します。

M-field04

左:ループのある面から高さ0.5mでの分布、右:高さ1mでの分布

ループ内ではだいたい一様、ループの外に出ると急激に磁界が弱くなる様子がわかります。

次に、強度をより定量的に見てみましょう。

M-field05

これは5m四方のループ(全長20m)に1Aの電流を流した場合の磁界の垂直成分の大きさを見たものです。概ね0.1A/m以上の磁界強度がループ内で得られています。
地上高がループの一辺の長さに比べて小さくなるとループ中央で磁界強度が低下します。大きなループを作ったときにはこのことに注意が必要です。大きなループでは中央での強度が周辺に比べて弱くなります。

正方形ループの一辺の長さとループ中央での磁界強度の関係を下の図に示します(電流1A)。ループが大きくなると、中央での磁界強度が下がっています。また、大きなループでは高さによる強度差が中央では少ないことがわかります。

ループ中央での磁界強度

ループ中央での磁界強度

一辺が5~6mのループなら1~2Aの電流を流せばよいことがわかります。一辺10m以上のループなら2A以上必要になります。
ループ線の製作でも触れるように、ループ線を単線ではなく、複数線とすればアンプの出力電流を減らすことができます。(但し、複数線にすると高音が出にくくなる場合もあります。)

ループで使う磁界の強さ

ループで使う磁界の強さは0.1~0.2 A/mくらいです。これを空気中の磁束密度に換算すると、0.13~0.26 μT(マイクロテスラ)=1.3~2.6 mGauss(ミリガウス)であり、地磁気(300~450 mGauss)と比べてもずっと小さいレベルです。日常的に利用している電気機器にはこれよりも高い磁束密度を発生しているものもあります。従って、可聴 周波数の磁界を発生する電気機器のそばではループ受信にノイズが入ることがあります。

形状等を入力すると磁界の分布を計算した結果を表示します。